測定モニタ
VDE
2021-09-22

ごまかしソフトウェア等は一切関係ありません: EUのエコデザインとエネルギーラベルに関してあらゆるループホールを埋めます

電気電子機器の消費と性能に関する法定要求事項は検査センターでの試験を操作することで迂回可能です。これは検査状況を検出して機器を自動的に最適化する隠されたソフトウェアによるだけではなく、特定のメーカー要求事項を乱用することによっても可能です。このため「迂回」(「かわし」)の定義は広義とする必要があります。標準測定手順での迂回はたいていの場合検出しにくいため、8つの製品グループで18件の疑義があるケースについて特殊試験プロセスを開発いたしました。

VDE試験センターは欧州プロジェクト「ANTICSS」の提携機関です

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Christoph Tuerk

新たな迂回の可能性が発見されています

これは「ANTICSS - Anti-Circumvention of Standards for better market Surveillance 」(市場監督改善に向けた規格違反防止)という欧州連合が出資したプロジェクトの最も意義がある成果です。EU加盟国のうち8ヵ国から19の組織でなす研究チームは三年半かけ、エコデザインやエネルギーラベルに関するあらゆる項目について、欧州指令と測定基準上の法定要求事項をかわす可能性について解析しました。

ドイツとイタリア、スペイン、オランダの4つの試験機関は合計24件の標的を絞り込んだ製品モデルを試験し、その内6つから迂回あるいは迂回グレーゾーンの挙動が検出されました。メーカーがこうした違反を大掛かりに悪用したとすると、正式規定値を年間およそ200,000トン上回るCO2等価排出が大気中に放出されることになります。機器の耐用年数を一貫しておよそ240万トンのCO2等価排出に相当する勘定となります。

ループホールを閉じる二つ重要な方法

「従って欧州連合は立法と規格に現在存在する弱点を可及的速やかに解決すべきなのです」と、エコ研究所のプロジェクトリーダーカトリン・グラウリヒさんは主張します。

このために研究チームは二つの方法をご提案しています。まず、EUが「迂回」(かわし)の定義を広義に定めること:従来この定義は試験状況を検出し、燃費を自動的に最適化する埋め込みソフトウェアしか対象にしていませんでした。その他の迂回可能性も補完して禁止すべきなのです。このような迂回には試験に限ってよりよい結果につながるような検査機関への特定指示を行うOEMの指示濫用や試験状況では燃費が下がるが実地にはほとんどありえないあるいは机上の空論でしかないような製品の事前設定や機能の可能性が挙げられます。

二つ目は、市場監督当局においては迂回を検出するため規定の標準測定プロセスから乖離した法的な取り扱いが必要です。ANTICSS研究チームはこのために操作の疑義があるパラメータはほとんど変更できないテストプロセスを開発しました。試験結果が規格条件の下での結果から大幅にずれる場合、機器が準拠性試験のために最適化された疑いが濃厚です。こうした代替措置が今後立法および規格にいかに適用可能かについては、今後とも研究と対処の余地があります。
二つ目は、市場監督当局においては迂回を検出するため規定の標準測定プロセスから乖離した法的な取り扱いが必要です。ANTICSS研究チームはこのために操作の疑義があるパラメータはほとんど変更できないテストプロセスを開発しました。試験結果が規格条件の下での結果から大幅にずれる場合、機器が準拠性試験のために最適化された疑いが濃厚です。こうした代替措置が今後立法および規格にいかに適用可能かについては、今後とも研究と対処の余地があります。

最大リスクは信用失墜

最優先すべき目的は、市場を歪ませる行為や製品の環境影響に関する誤情報を防止するためループホールを塞ぎ、最初から迂回ができないようにすることです。「省エネを逃す以上にこれよりさらに大きな消費者からの従来は成功してきたエコデザインやエネルギーラベルに関するEU立法の信用失墜という損害が考えられます」(カトリン・グラウリヒさんの懸念)

「エコ研究所とANTICSSプロジェクトコンソーシアムの「ANTICSS Final report: Closing all roads to circumvention」(ANTICSS最終報告: 迂回につながる全経路の閉鎖):
https://www.anti-circumvention.eu/storage/app/media/ANTICSS_Final-report_2021.pdf

このプレスリリースは2021年9月15日にエコ研究所が公開したものです。

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